また誕生日が来た

年々歳をとるスピードが速く感じる。

それは動作が遅くなるせいだと聞いた。

 

数年前から

誕生月にカラダの不調はやってくる。

 

数年前のこと

仕事中に

鼻の頭にポツリとひとつ

ニキビのような膨らみに触れた。

数時間後には縦に3つ膨らみが増えた。

触るととぶよっと痛い。

同僚が鼻の頭のオデキは危ないと言った。

夜には

顔に手が触れただけでヒリヒリと痛い。

鏡を見ると鼻がひとまわり大きくなっていた。

頭も痛いので鎮痛剤を飲んで寝た。

翌朝、鏡を見ると

またひとまわり鼻が大きくなっていた。

鼻全体がぶよっとしていた。

とても人前に出れる顔ではなく

マスクをして慌てて医者に行った。

何科に行ったらいいものか迷ったが

鼻なので耳鼻科を受診した。

先生にセツだと言われた。

面疔とも言うらしい。

今時かかる人がいるのは珍しいと言われた。

鼻と脳は近いので脳に炎症が回って昔は死に至る人も多かったそうだ。

大量の抗生物質を処方された。

2週間1日3回必ず飲むように言われ

一週間後に鼻は元の大きさに戻った。

ぶよっと感もなくなったが皮がめくれた。

大量の抗生物質を飲み続けたせいで

他の部分にも影響が出て大変な思いもしたが

セツは治った。

 

次の年の誕生月のこと。

パソコンの入力中、右眼の奥が突然痛い。

右のコメカミのあたりが急にヒリヒリチクチクし始めた。

触るとザラザラしている。

細かいブツブツができていた。

眼の奥の痛さがハンパないので

早退して内科へ行った。

帯状疱疹だった。

またしても顔にブツブツ。

かかりつけの女医さんが

"ブツブツは日が経てばなくなるんだけど

痛みだけが残る場合があるのよね"

"その時はペインクリニックを紹介しますね"

と言った。

幸いにも痛みは残らずキレイに治った。

 

次の年の誕生月は

今まで経験したことのない悪寒に襲われた。

夜中だった。

尿意がおさまらず何度もトイレに行く。

翌朝這うようにして泌尿器科に行った。

急性腎盂炎だった。

元々腎臓に石ができやすいのか

CTを撮るたび細かい石があると言われる。

尿と一緒に出るくらいの大きさのようだ。

ウソかホントか先生はぴょんぴょん飛べと言う

水腎症の症状があったりと

この年はなかなか回復しなかった。

 

そして次の年に訪れたのは更年期障害

これはなかなか厄介だ。

自分で認めるのに時間がかかった。

人によって症状は様々で

一般的にのぼせ、ほてり、発汗をよく聞くが

私の場合はその症状がなく

不眠、イライラ、ウツ、疲労感、関節痛、

めまいだった。

 

私のめまいはカラダが転がる。

地下鉄で通勤していた私は

ホームから落ちる不安で

通勤できなくなってしまった。

 

悩んだ末に小さな婦人科を訪れた。

たまたま高名な先生だった。

更年期チェックをした。

かなりの高得点で更年期障害が確定した。

ホルモン補充療法(HRT)を始めた。

おヘソの辺りに貼るシールの薬だった。

冬の間はどうもなかったが、夏になると

シールにかぶれて我慢できなくなり

飲み薬に変えてほしいと訴えた。

先生は"さて…飲めるかな"と意味深な顔

 

飲んでみてわかった。

飲んだ後しばらくすると

ツワリと陣痛が一度に来たようにうずくまる。

ようやく3日目でおさまった。

ホルモン補充療法の効果で

更年期障害の症状はなくなった。

やめてしまうとまた

不眠や鬱に襲われるかと思うと怖い。

症状が出たらまた飲み始めたらと

他人は言うが

ツワリと陣痛が一度に来るような苦しみも

嫌なので

ずっと続けている。

ホルモン補充療法を始めてから

カラダの不調も無くなった。

転職はしたが今も仕事を続けられている。

今は膝の痛みに悩まされている。

今後も老いとの闘いが

続いていくんだろうなと

誕生日が来るたび実感するのだ。